「抜き」の問題は常に熱いのか??

今日は古い友人と会ってきました。

Looking Through © by tonyhall

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この友人、異業種ですが中小企業経営者。私がこの地にきて不動産業を始めたから、自分もこの地に新たに拠点を開きたい、何か一緒に仕事をしたい、と言っています。そんな理由での事業展開は無いだろう、冗談だろうと思っていましたが、どうも本気らしい。前からこちらに進出したいと思っていたんだろうと聞いても、そうではないと言う。そんなに俺の事好きなんだっけ?最近、毎週のようにこの地に新規開拓営業に来ています。

接待をガンガンやらなければならない業界らしく、「接待用のいい店教えて」と言われましたが、私はまったく知らず。この地のビギナーであることもさることながら、もともと接待するのもされるのも嫌い。今後も接待営業はしない方針です。ただ単に苦手なだけです。お酒は大好きなんですが…。でも、不動産業界でも方向性によっては接待必須だったりするんでしょうか…。

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全然本題と関係のない前置きはさておき、このブログの不動産業関連記事の中で、最も読まれているのが、

仲介手数料無料と「抜き」行為 ‐ 不動産業のあり方を問うテーマを含んでいるかも ‐

という記事、読まれている数はダントツです。

 

うーん、不動産業界では常に「抜き」の問題が熱いのでしょうか?

抜いた抜かれたのトラブルが多いのか、どうやって抜くかを研究中の人が多いのか、それとも「これって抜きになっちゃうかなあ」と業界ルールが不安な人が多いのか。

気になって、Googleで「抜き 不動産」で検索してみると、当の記事が2位に出てきました(苦笑)。そのせいかな…。

※ 「抜き」という言葉が意味するものには数パターンあると思うのですが、今日は賃貸について、貸主と他業者が専任媒介契約をしている場合に、その物件情報から貸主を見つけ出し直接アタックをかけて専任媒介契約を奪う、という場合の「抜き」について書いています。

 

 

今私は賃貸仲介、客付専門で仕事を始めていますが、こんなスタートでも「抜き」にナーバスな不動産業者さんの、なんというか同業者への不信感をそこはかとなく感じることがあります。

 

もしかしたら全て私の誤解かも知れないのですが…

 

例えば、

      • レインズやATBBの業者間物件情報に、細かい情報を登録しない。例えば、住所に関しては○○町○○丁目までしか載せない。ものによっては○○町までしか載せない。場合によっては現実の立地と異なる住所が載っている(これはさすがにまずいと思います。ただのミスって場合もあるのかも知れませんが)。

 

    • 同じ物件について、日をまたいで複数回物件確認をすると、具体的に紹介する客が本当にいるのか、的な対応をされる(たまたまかも知れませんが、客付系の会社が持っている専任媒介物件の場合に多い対応です。)。

などなど。

 

そんなつもりもないのに、そんな対応だと最初はあまりいい気持ちはしませんでした(でも、今や「業者さんには厚かましく(但し礼儀正しく)」、「お客さんには親切・丁寧・正確に」が標語のようになっている私は全く気にもならなくなりました(笑))。それだけ警戒しなくちゃいけないぐらい、不動産業界では「抜き」が横行していたりするんでしょうか。

私が駆け出しで、聞いたことのない会社だから、信用されていないだけなのかも知れません。実際にお客さんを付けると信用されるようになる気もします。実際、案内まで進むと親切に対応してくれるのがほとんどですし、そこまで行かなくても、明らかに実際のお客さんがいることがわかるような質問をすると、とても丁寧に対応してくれる会社がほとんどです。

もっと広範に挨拶まわりをして自分を知ってもらうのが良いのかも知れませんが、そればっかりやってる訳にも…。

 

稀ですが、流れてきている情報があまりにも薄すぎるので、「もしかして聞いてみたらいい物件かも知れないぞ」と思って電話すると、教えてくれる内容もうすらぼんやりだったりすることもあります。「っんなら情報流すなや!」と心の中で叫んでます。

 

「抜き」と「正当な競争」の線引きは難しい気もします。見に行った物件の中には、確かに多少の難はあるけれど、そこまで空室だらけになるような客観的な理由がいまいちわからないものもあります(私の経験・理解不足のせいかもしれませんが)。時々、「もっとちゃんと入居者募集してくれるところに預けたほうがいいんじゃない?」と心でつぶやくような時もあります。貸主が「なんか信頼できないなあ…」「なかなか空室が埋まらなくて苦しいなあ…」と思っているところに、ちゃんとやってくれそうな不動産会社が声をかけてきたら…?

なんだか貸主が媒介契約を他業者に切り替えるタイミングとかきっかけが良くわからないですね。「抜き」にならない不動産会社の貸主への営業活動とかも。

 

いずれにせよ、専任物件を他社に取られるかどうかは大きな問題であることはわかります。

この業界の先輩方と話すと、「不動産業界は横のつながりが大事だからね」と良く言われます。「ライバルでもあり、協力しあう関係でもあるんだよ」とか。それは何となくわかっては来ました。

そういう業界だからこそ、「抜き」にナーバスなんでしょうか。

 

 

顧客獲得にしのぎを削るというのは多くの業界では当たり前のこと。前に働いていた業界では、「あそこの大口はA社がやってるけど、あれを取りに行くぞ!」「うちの大口顧客にB社が営業攻勢かけてきてるぞ、サービス内容も価格も再度洗い出して締めないといけないぞ!」とかは良くあることでしたが、そのことでA社が自社を不当だと思ったり、自社がB社を不当だと思ったりするようなことは全くなく、むしろそれが当たり前です。ライバルが攻めてくる、こちらが攻めに行く、それが面白い面でもありました。

仲介の仕事って、成約しない限り報酬はない訳で、投下した労力やコストは成約あってこそ実を結ぶもの。客付は、成約率も織り込みながら労力・コストの算段をするのでしょう。元付は基本、預かってる物件はいずれ成約し必ず収入になる、と算段しているのでしょう(時間の問題はあるにしても)。そこで抜かれれば、客付とは違うレベルでかけていたコスト・労力の全てが無駄になってしまう、それは他の業種と単純に比較出来ない部分なのかも知れません(「管理」もやっている場合はまた話は別でしょうが)。

でも、一般に営業にも時間・費用はかかるし、常に100%実を結ぶ営業なんてない。やっぱりそれが普通な気もしますけどね。

 

 

それはともかく、本気で抜こうと思う相手には、上に書いたようなやり方では防衛できないはず。特に賃貸は売買以上に、水面下でお客を募集なんてできないでしょうから、物件の所在地も所有者も調べればすぐにわかります。ネットが当たり前の時代であればなおさらです。

結局、他から声がかかっても、他社に切り替えようなんて思われないような、貸主との信頼関係を築く以外、抜かれる心配を無くす方法はない気がします。

 

 

最近契約でやりとりしている元付会社さん。実は開業地選定中に候補に入っていた地域(現在の私の会社の商圏からは離れています)に根付いている歴史のある会社です。大規模な会社でもないし、派手さもないように見えるのですが、非常に堅実で地場に強固に根付いている感じで注目していました。

まだほんの僅かな接触ですが、その間のやり取りだけでも、「ああ、きっと貸主さんからの信頼も厚いのだろうなあ」と感じます。借主さんへの配慮も非常にきっちりしています。案内前に物件確認したときから現在の契約のやりとりまで、私自身も客付けしやすいと感じたり、信頼感を感じたりする、頼もしい会社です(実際、契約手続を進めるのも、迅速でやりやすくてスムーズでありがたいです。送ってもらった契約書類ひとつひとつ見ても、隅々まで配慮が行き届いている感じ。うちの商圏にもっと物件持ってたらいいのに)。

こういう会社に物件預けてたら、なかなか切り替えようとは思わないんじゃないかなあ。

 

 

物件登録の情報が薄かったり、詳細情報入手にひと手間増えたりすると、客付側が敬遠したりする可能性が無きにしも非ずでは。私は、そんな事で選んでいる場合ではないので、依頼してもらっているお客さんに合う可能性がありそうなら、どれでも紹介していますし、電話しまくってごちゃごちゃ聞きまくってます(もしかしてすべては単にそれがウザいと感じられているだけだったりして)。

 

今現在の私のスタンスは、賃貸の専任を取りに行こうというものではありません。HPに「オーナー様へ」的なページも設けていません。ましてや「抜き」は絶対やらない、という考えです。

名刺に「抜きません」と大きく載せたり、電話するときに「”抜かない!” でお馴染みの○○です」と名乗ったり、車の後ろに「抜きません宣言車」とステッカーを貼ったり、武田鉄矢ばりに「僕は抜きましぇん!」と叫んでみたり(わかる人は少ないか…)したいぐらいなのですが、恐らく自分が抜かれる経験をしたりすると、感覚が変わるのかも知れません。

 

 

色々書きましたが、賃貸においては、「抜き」への警戒感があらわな感じの会社はごく少数です。多くの元付さんは、「是非お客さんつけてね!」というスタンスです。

 

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もっと短く書くつもりでしたが、書き始めるとまた長くなっちゃいました。

 

実際には、この話題よりも今の仕事のあり方をどうしていくのか、いつも考えています。

かなりの労力をかけて対応(メールのやりとりですが)していたお客さんが、他で決まりそうです。それ自体は致し方ないことですし、常にそういうことを予定しながらの仕事だと思います。

ただ、やはりこの調子で続けていくと行き詰る気がします。既に、手持ちのことをやっているだけで、1日がすぐに過ぎてしまいます。よくよく工夫しなければいけません…。

この先、客単価平均がどれくらいになるのかもいまひとつ予想がつきません。1シーズン経験しないとどうコントロールすべきかもわからないですが、このまま流れにまかせて、ただ「やる」で良いのかどうか。

 

外れる予想であれ間違った仮説であれ、もう一本、何か筋が必要だと感じながら、大した結果も出ない中、ただひたすらに日々に追われる日々になっています。

 

でも、考えすぎず、とにかく色々やってみようとは思います。

売買の準備、手がついていませんが、そろそろ着手しなければ、です。

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griffin

グリフィンです。不動産業もWordPressも関わるようになってまだわずか。それを差し引いてお読みください。コメントはお気軽にどうぞ。

4 thoughts to “「抜き」の問題は常に熱いのか??”

  1. こんにちは、私も不動産屋を目指す新参者です。
    抜きについて書かれていますが、そもそも賃貸の仲介に専任も一般もないのではないでしょうか?
    専任は一般は売買や交換のみで協会も賃貸の媒介で媒介契約書なるものを取り交わすことを必須としていません。
    しかしながら他社が扱ってる物件を扱わせて貰うわけですからモラルとして大家さんの方から2社に任せることにしましたと一言相手業者に連絡を入れてもらうようにしています。
    やみくもに抜き行為を非難するのはおかしいのではないでしょうか?
    もちろん売買の際は抜き行為は違法行為ですので非難されるべき行為と思います。

    1. KOOさん、はじめまして。
      コメントありがとうございます。

      「抜き」という言葉自体が曖昧で、色々なパターンを指すので、この言葉を使うこと自体が誤解を生んでしまう気もするのですが、私は「抜き」と呼ばれる可能性のある行為の全てを非難している訳ではないのです。

      また、貸主が一般媒介で業者に募集を依頼している場合に、貸主の方から依頼を持ち込まれる場合はもちろん、他業者の方から貸主に働きかけて依頼を受けることも、法的にもモラル的にも全く問題はないと思いますし、私もこれを「抜き」として非難をしているつもりはないです。KOOさんがおしゃっているのはこのような場合を指されているのかなと推測しており、そうであれば私に異論はないです。

      尚、賃貸では、媒介契約について契約書の作成・交付義務や、専任の場合の報告義務・レインズ登録の強制はありませんが、口頭でも貸主・業者間でそれぞれ媒介契約が存在し、その取り決めの内容によって、概ね専属専任・専任・一般のいずれかに当たると思います。

      実際に、専任媒介で契約書を交わす場合も多々あるようですし、売買の場合にならって、貸主への報告義務などを定めていることもあるようです。

      ちなみに付き合いのある貸主さんと、とある物件の募集にについて雑談になった際、貸主さんに契約内容を確認してもらいましたが、専任になっていました。貸主さんは内容について今一つはっきり認識していませんでしたが…。「お客さんを見つけたら依頼しておられる○○会社さんに連絡して進めますね」とお話し、その後実際客付けしました。

      このように、専任で受けている元付がいる場合に、他業者が客を見つけてきて貸主に働きかけ元付を通さず、いわば「抜いて」契約を交わすのは、モラルに反するだけでなく、貸主は契約違反・債務不履行の責任、抜いた業者は不法行為になる可能性すらあると思います(現実に責任を問われるかは別ですが)。

      ただ、専任媒介となっている物件を媒介契約期間満了後、自社に預けてもらうように働きかけたり、一般媒介に切り替えてもらうように働きかけるのが問題になるかどうかは、今の私には判然とはしません。大家さん全般に対して「預けて下さい」と広告するのは問題ではないでしょうし、個別に働きかける場合でも「正当な営業活動」である場合が多いとも思います。もちろんやり方に問題がある場合もあるのでしょうが、その辺は私にはわかりません。

      「抜き」のことを何度か記事にしたのは、「正当な営業活動」と、非難されるべき「抜き」の境界が曖昧な気がして、他業界からきた私には何とも不安であったり、問題意識を持ったりしたからです。

      尚、賃貸の媒介契約については曖昧なところも多いので、これをきっかけに記事にするかも知れません。ご了承ください。

      長い返信で失礼しました。
      また宜しくお願いします。

  2. いやぁ〜。今回は長かったですね(笑

    不動産業界でも、売上をあげようとしたら、接待は必須ですよ。
    エンドユーザーを相手にしていたら、直ぐに頭打ちすると思いますし、体力だけが削られていく事になります。

    不動産業界は仲介という所に参入しやすいですが、いかにそこから早く脱出するかが、生きていく上でのポイントだと思います。
    賃貸なら、貸主、管理、専任になる。売買なら売主、専任になる。だと僕は思います。

    抜き行為は、グリフィンさんの会社の規模でやるのは、かなり危険です。一度目を付けられると、その業者から物件を出して貰えなくなったりしますので、極力抜きはしない方向で行くといいでしょう。

    1. 酒が入ると話が長くなりますが、ブログも同じですね。本当にオヤジになったものだと思います(笑)。

      アドバイスありがとうございます。抜きは絶対やらない考えです。そもそも性分に合いません。

      おっしゃる通り、エンドユーザーだけを相手にしていたら、消耗するだろうなあ、不安定だろうなあ、とこのわずかな期間でも感じます。今はたまたまお客さんに恵まれているのか、やりとりは楽しいし、いい部屋を紹介できるととても嬉しいんですが。

      売買も客付スタートの予定ですが、こちらは同時に売りの専任を獲得できるような工夫をしたいとは考えています。でも簡単ではないでしょうね。

      少しずつ考えます。

      いつもありがとうございます。

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