賃貸でも好みを理解してくれる営業マンがいいかも、という話。

年末に高速上でエンジン不調に見舞われ、レッカーされたものの、即日代車で強行に帰省してまいりました。レッカー代も、帰宅のタクシー費用もロードサービスから出ましたが、修理費用にビクビク。しかし、車屋さんがサービスで直してくれることのできるレベルで結局出費はゼロ。不幸中の幸いですね。何より事故にならなくて良かったです。

ブログ更新はクリスマス以来です。多くのブログがアケオメ更新をしていたにも関わらず、放置で申し訳ありません。

By: Kevin Dooley

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さて、少し前に書いたリピーターのお客さんですが、のんびりムードで部屋を探しておりました。何件も案内させて頂き、その中には、普通のお客さんなら即決になりそうな良い物件もあったのですが、ピンと来ない様子。

まあ、なんとなくわかってはおりました。このお客さん、言葉にするのは難しいのですが、お部屋に微妙なこだわりがあるのです。

駅からの距離は問わない、設備も最新でなくて良い、築年数へのこだわりもほぼなし、指定された条件は、賃料帯と広さ、バストイレ別、2階以上、というぐらいです。これらの条件を満たした物件はリストアップすればたくさんあるのですが、お客さんが気に入るだろう、と思うものはほとんどありません。

本当、言葉にしにくいものなのです。周辺環境でもないし、部屋のデザインとかでもない、新しいとか古いとかでもなく、設備でもない、しかし確実にこの人好みの部屋があります。案内した物件の中には、分譲タイプの賃貸で部屋も設備もバッチリ、立地や所在階やら管理の状態なども含めて、「俺なら借りるな」と思うようなものもあったのですが、「とても良い部屋だとは思うんですがでも…」という感じです。お客さん自身も、自分の好みをうまく言語化できないようです(もともと寡黙な人でもあります)。でも確実にこだわりがあります。

 

私、前回契約して頂いた時のこのお客さんの好みの感触は記憶しています。しかし、その部屋から引っ越しするというので、その記憶のまんまではダメだろうと。それでこれまで2回ほど何件か案内してまわりました。それで、見てもらった物件の感想を聞きながら、今回どういうものを欲しているのかを理解しようとしました。

しかし、そうすればそうするほど、「うーん、マジむずかしい…」という感じになってきました。一応の条件をクリアした上で、この人が「萌える」部分がないといけないわけです。

ただ、「いいのないですよ」とは言いたくないし、3回目の約束の日に一応案内予定の物件数件の鍵手配などをしていたのですが、途中で「もういいや」と思っちゃいました。このお客さんについて「もういいや」ではなくて、もう、この人が「萌えない」だろうと自分が感じる部屋の案内なんてする必要ないや、と思ったわけです。

好みの再確認などのために2回目までの案内は利用できましたので無駄ではないんですが、もうこれ以上はいいだろ、と。あとは自分がお客さんに「これ、萌えるでしょ」と言えるものだけにしちゃおうと。幸い急いでるお客さんではないし、弊社で契約すること自体決めちゃってるお客さんですし。

何より、このお客さんが弊社を選んでいるのは、まあ前回のやりとりで親切だったからとかあるかも知れませんが、それ以上に、自分の微妙なこだわりと、それがうまく言語化できないことを自覚していて、それでもそれを急かさず汲んでくれそうだ、と思ってくれているからではないか、と思い当たったからです。うん、きっとそうだ、これがお客さんの望んでいる私の役割だな、と。

 

それで、改めて前回契約の時の感じと、今回2回案内した感じを比較しつつ、虚心になって考えてみました。すると、ありました、1件だけ思い当たる物件が。もしかして、これじゃないの?と。

お客さんと会って、「形式的に条件に当てはまるものはいくらでもあるんですが、○○さんにおススメできるものとなるとすごく限られると思うので、ものすごく限定した物件だけ紹介していくことになりますが、気に入るものがあるまで紹介しますので、のんびり探すってことでいいですよね。」とお話して、その日は1件だけ案内しました。

 

 

ビンゴでした。

この物件、色々と悪条件と言えなくもない部分があって、一般のお客さんだと案内するのは無駄になりがちなので、あまり案内しないです。加えてADもつかないので、他業者もあまり案内していないでしょう。空室期間も長めです。しかし、このお客さんの目を通すと違って見えるのでは、と案内してみたら、正解だったのです。

あまり感情を表に出さない方ですが、私にはお客さんがすごく気に入ったのがわかります。しかし、あえてネガティブな面を二人で話し合います。それでも大丈夫なようです。予算を少しオーバーしているのですが、乗り気です。

結局、私の方から賃料交渉して予算内に収め、決まりました。

 

賃貸営業は回転を上げるのも重要だと思いますし、お客さんの側からも、出来るだけ具体的な条件を上げて、それにあてはまる物件をどんどん案内してもらうというのが良い面もあると思います。普通は、条件を出したら、「これとかこれとかこれとかどうですか」みたいにパッパと物件を出してくれるでしょうし、その辺がチャキチャキしているほど良さそうに見えるかも知れません。いや、ちゃんと条件に沿ったものを出してくる人は最低限良い営業マンだと思います。

しかし、なかなか伝わりづらい「好み」「こだわり」のようなものがある方なら、いくら形式的に条件に合った物件をたくさん見せられても、ぴったり来るものには出会えないということもありそうです。そういうものを汲み取ろうとしてくれる営業マン、自分でも言語化できないようなポイントを形にしてくれるような人に頼めると良いのかもなあ、と思いました。

今回の件はたまたまかも知れませんが、賃貸と言えどもそれぞれ個性のある部屋を、好みを形にしてもらいながらのんびりと探していけるような不動産屋があっても良いよなあ、とは思います。まあ、商売として成り立つかどうかは難しいところもあるんですが。

 

まあ、個性的な部屋を特集しているようなサービスも世の中にはありますし、それはそれで面白いなあ、と思うのですが、一方で、扱う物件数が増えていくにつれ、没個性的な部屋の数が増えてるんじゃ?と思うようなサービスも多いのが現実のようにも思え難しいところです。それで、結局最終的には営業マンだよなあ、と思ったりします。しかし、賃貸営業で、そういう営業マンを探す術というのは、なかなか無いよなあ、とも思います。

居住用賃貸から撤退しようかと思っている私ですが、こういうスタンスのものだけ残す(もう、「のんびり探している人だけ来てください」「急いでいる人は来ないで!」とか(笑))、というのもありなのかなあと思ったりもした次第です。 

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griffin

グリフィンです。不動産業もWordPressも関わるようになってまだわずか。それを差し引いてお読みください。コメントはお気軽にどうぞ。

2 thoughts to “賃貸でも好みを理解してくれる営業マンがいいかも、という話。”

  1. ご無沙汰しております。
    久々に記事読ませていただきました。
    ん~~ ものすごくわかりますね!これは世代感からもしれませんね!
    確かグリフィンさんは、40後半ぐらいだったでしょうか?私も50に
    なりましたので、その感覚わかります。開業した時が28歳でしたが
    そのころは、自分でもセカセカとコマネズミの様に動いてた様な気が
    します。ただ単に物件資料を出すというところに面白味を感じないと
    ころってありますね!売買、賃貸、管理やっておりますが、面白いと
    ころは、仲介そのものではなくって ただ単に人間が好きってところ
    いろんな人 いろんな考え いろんな見方 いろんな価値観あります
    よね~ 時には、日本も終わったな と感じる時もあれば こういう
    人もいるんだと うれしくなったり ポジティブになったりネガティブ
    になったり 疲れる仕事だな~なんて思うこともあるけど 変わらない
    のが人間が嫌いでないって事ですね!人間取扱主任者みたいな感じです
    業界のカラ-が嫌いなのに 23年続けてこられたのが不思議でなりま
    せん。頑張ってください。

    1. わー、lclipさん、お久しぶりです!
      忘れず読んで頂いたとは感激です。

      確かにいつもこんな風に決まれば楽しいでしょうね。難しいでしょうけれど…。

      はい、私は40後半、50目前です。にもかかわらず、未だに頭の中は子供かも知れませんし、人間が嫌いじゃないって断言できないところもあるんですよね。

      でも、仲介そのものよりも人と接すること、そこから糧を頂くというlclipさんみたいな境地に達したいなあ、と思います。ずっとそうやってぶれずにやって来られたこと自体が凄いことなのでしょうね。

      lclipさん、ありがとうございます。
      元気出ました。

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