中古マンションの価格査定をしてきました。

こんにちは。暑いですね。

売買仲介を始める準備中でして、同業者さんとの繋がりを再構築したり、サイトの準備、広告できる物件集めなどしております。そんな中、店舗探しの依頼を受けているお客さんから、自宅マンションの価格査定の依頼がありました。同時に、賃貸に出した場合の賃料査定も依頼されています。

By: Jeffrey Zeldman

スポンサーリンク

今まで賃貸だけだったので、売却の価格査定は初めて。ちょっぴり緊張。査定書のフォーマットなどもないので、大急ぎで価格査定と賃料査定と2種類のフォーマットを作成しました。正直、見よう見まね(といっても真似する何かがあるわけではありませんが…)でやるしかありません。

それで、今回査定するにあたって、当面、気になったことなどを備忘録としてメモします。

おかしなことを書いていたら、親切な方、ご指摘ください。

今回は売買の価格査定。賃料査定は次回書こうと思います(ちなみにかなり築古のマンションなので大した価格はつきません)。

 

1. マンションの登記簿確認

依頼を頂いてから訪問まで少し時間があったので、その間にマンションの登記を確認。

築古マンションで、販売時のパンフレットや図面等をお客さんは持っておらず、築年や専有面積(公簿ですが)なども確認するため。さらに、所有者は査定依頼者のお父様ということなので、所有者の確認もしておきたく、法務局へ行きました。

 

(1) 家屋番号

賃貸でも登記を確認することは多々あるので、このへんはどうということもないのですが、とりあえずついでに書いておきます。

マンションでは各専有部分が区分所有されているので、それぞれに家屋番号がついています。この家屋番号、ネットなどではわからないため、登記所で確認します。

私はいつも、窓口でブルーマップを開き、「このマンションの〇〇〇号室の家屋番号をお願いします」といった感じで調べてもらいます。

ちなみに、この物件、乙区の記載はなく、抵当権等の登記はありませんでした。

 

(2) 何区何番事項証明書

今回初めてだったのが、この「何区何番事項証明書」。

マンションは、建物(専有部分)の権利と土地(敷地権)の権利とを別々に処分はできず、一体として処分しなければならないため、登記上も建物登記簿の方に敷地権の権利についても記載されているのが通常です。

しかし、このマンション、非常に古いためか、このような登記になっていません。建物(専有部分)の登記には、土地(敷地)に関する記載はなく、土地は土地で別途の登記です。こちらの土地の登記に、区分所有者が共有しているという登記がされています。

 

そして、この登記のうち、特定の共有者のみに関する部分だけの登記簿が、「何区何番事項証明書」。私、「何区何番事項証明書」というもの自体、良く知りませんでした。

今回、登記所の窓口で「この部屋の建物登記と敷地権に関する登記が欲しい」旨伝えていたので、法務局の方が調べて、建物登記と何区何番事項証明書を出してくれました。

 

見ると、建物同様乙区の記録はまったくありません。まあ、そりゃそうだ、建物と敷地の持分は別々に処分できないんだもん、とは思ったのですが…。

ただ、この「何区何番事項証明書」の末尾の記載には「これは登記記録に記録されている事項の甲区〇〇番事項を証明した書面である。」とあります。

「何区何番事項証明書」を手にするのが初めての私、率直な感想は「えー、乙区があるのかないのかは証明されないの?」です。

 

例えば、普通の登記簿で乙区の記録がそもそもない場合、末尾に「ただし、登記記録の乙区に記録されている事項はない。」と記載されていて、抵当権などの担保の登記はないことが証明されます。

しかし、「何区何番事項証明書」には、乙区がないよとは書いていない。んー、なんか不安。窓口で聞けば良かったんですが、持って帰って気づいたのでちょっと考え込みます。

 

媒介が取れている訳でもないし、現時点でそんなに気にする必要はないと思いますが、純粋に疑問がわいてきます。法務局に戻って聞いてこようか…。それとも敷地権の登記をがっつり取ってみるか…。しかし、敷地に関する登記を全部取ると、共有者全員分の記録が出てきて何ページになるかわからず、無茶苦茶お金がかかる可能性が高い。

そうだ、ネットで登記記録とれば(参照:登記情報提供サービス)、337円で取れるんじゃね?とやってみたら、28ページ分が337円で取れました(証明力はないですが)。そうなんですね!

確認したら、ズラーっと甲区も乙区も出てきました。乙区の方は、「共同担保目録」の記載があります。やっぱり建物と一緒に担保に付されているわけですね。そして、お客さんの共有持分についてはやはり乙区の記載はありませんでした。

 

その後も調べてみた結論としては、この「何区何番事項証明書」で、その敷地権の共有部分に担保登記がある場合、「これは登記記録に記録されている事項の甲区〇〇番、乙区××番事項を証明した書面である。」などの記載があるようです。

知っている人には当たり前でも、知らないと不安なものです。

 

2. 価格査定マニュアル

価格査定には、(公財)不動産流通推進センター(2015年4月に不動産流通近代化センターから改称)の「既存住宅価格査定マニュアル」を使いました。売買始めなきゃな、と思った頃に9000円ちょっとで買っておいたもの。

 

(1) 事例マンションが意外と難しい

事例比較方式での価格査定においては、選択する取引事例が大事になるとは思うのですが、なかなかぴったり来るものがない。レインズで確認しても、同マンションでの取引事例は出てきませんでした。ただ、ATBB(アットホーム)には売出価格の記録はありました。

近隣マンションで非常に似通っている条件のものがあり、レインズに成約情報もあったものの、重要な点が違いました。査定マンションはエレベータがあるのですが、この近隣マンションは古い5階建てでエレベータがありません。価格査定マニュアルでは、エレベータ有と無の比較は禁則になっているので、入力自体が出来ません。

色々見ていると、「だいたいこれくらいだよなあ」という価格は自分の中にあるのですが、数値化した根拠がないと…。そもそも業法でも第34条の2第2項において「宅地建物取引業者は、前項第二号の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。」となっているわけですものね。

それで結局、周囲の取引事例をかなりくまなくチェックして、想定した価格とそう変わらない結論になるものがありました。しかし、順序が逆ですよね…。

 

(2) 知らぬ間にWEB版に変更。協会会員は1年間利用料無料。その後は有料。

「価格査定マニュアル」ですが、正直あまり使いやすいとも思えず、各項目を評点化をした累積で係数をかけているだけじゃん、みたいな気もします。出力される査定書のフォーマットもイケてない感じ…。まあ、そんなもんだろうという気も一方でしますし、便利と言えば便利なんですけどね。それに使いこなしていないだけかも知れません。

ただ、、事例マンションを色々変えてみたりして試してみると、意外と納得いく査定価格が出る気もします。不思議なものですね。

それはさておき、この価格査定マニュアル、今年の7月31日にWEB版になってリリースされておりました(参照:価格査定マニュアル | 公益財団法人不動産流通推進センター)。私は知りませんでした…。

見れば、宅建協会や不動産協会などの会員は、来年4月30日までに利用登録すれば、1年間無料で利用できるとのこと。その後は1年間3,000円の利用料がかかるそうです。

へえ、そうだったのか…。協会からのアナウンスを見逃していたんですかね。

でもWEB版の方が利用しやすいですね。ネットにつながりさえすれば、外出先でも利用できますし。プリントアウトできなくても、PDFにしてお客さんに送信することもできますよね。取りあえず登録しておきました。

 

3. 管理規約、管理費・修繕積立金など

もしも媒介契約を頂くということになったら、管理規約や管理費・修繕積立金の額や積立・滞納状況についても確認しなければいけませんね。重説事項ですし。

このマンション、自主管理で住人が持ち回り(順番)で管理組合の理事・理事長をやっているそうです。イメージとしては、管理会社が入っている方が、色々確認するのが簡単な気もするのですが、私の気のせいかな…。

媒介業者にすんなり見せてくれるところもあるようですが、そうでない場合は、売主さんの協力が必要になるんでしょうね。

 

4. 都市計画とか

このマンションは第二種中高層住居専用地域に建っており、容積率などを見ても、万一建て替えということになったとしても(なかなかならないでしょうが…)、既存レベルのものは建ちそうです。

しかし、すぐ近隣の11階建マンションは、第一種低層住居専用地域に建っているいわゆる「既存不適格」です。もし建て替えということになったらどうしようもならないと思うのですが…。この近隣マンション、道の関係で圧倒的に査定マンションよりもアクセスもよく、イメージも良い立地のため、築年数はほぼ同じですが査定マンションよりも随分と高い価格で取引されています。

取りあえず今は関係ないけれど、大丈夫なのか…。

もちろん、取引の際には、用途地域等の説明はあるでしょうが、重説で「既存不適格」で建て替え困難(というか不可能)ということって説明しているんでしょうか。しているんですよね、きっと。

 

5. 委任状とか本人確認とか

所有者の親御さんは別の家にお住まいなのですが、依頼者の息子さんは、このマンションは自由に処分していい、と言われているようです。ただ、媒介契約を締結させて頂く段階では確認が必要ですね。

親御さんから息子さんへの委任状、親御さんの印鑑証明書(場合により住民票)、後は私が直接お会いするか、無理なら電話でお話をして、売却の意思確認や本人確認をする必要があります。

しかし、親御さんもそう遠くない場所に住んでおられるようなので、息子さんが代理になるのではなく、親御さんから直接媒介契約を頂き、売買契約も親御さん本人にしてもらう方が良い気はします。

なんとなく、代理って不安なんですが、気にし過ぎでしょうか。

スポンサーリンク

 

————————————————————–

さて、ご訪問してその日のうちにガッツリとした査定書を提出しました。

高めの価格の方が媒介が取りやすいのかも知れませんが、そういうことはせず、ジャストで出したつもりです。

 

お客さんとは、メールのやり取りはしていたものの、お会いするのは初めて。しかし、最初から和やかにざっくばらんに話ができました。正味一時間ぐらいでしょうか。

売り出すにしても、賃貸にするにしても、決断までには色々条件もあって時間がかかりそうですが、継続して相談してもらえたらいいな、と思います。

他社にも依頼しているかも知れませんけどね。

 

売買の取っ掛かりのところをやってみることが出来たので、少し楽しかったです。

 

関連記事とスポンサーリンク


関連しているかもしれない記事

griffin

グリフィンです。不動産業もWordPressも関わるようになってまだわずか。それを差し引いてお読みください。コメントはお気軽にどうぞ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

スパム防止のため下の式の空欄に答えの数字を入力してください。 *