何かが待ってる。

先日、以前いた会社の部下だった女性から、転職の報告がありました。新卒で迎え入れ、私が退職する時もまだ私の部下でした。

Well Trained
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私はもともと単独行動が好きで、会社での人間関係も「仕事上の関係」だと割り切るように考えていましたし、部下と話す時も「仕事だからここまで言うのだ」「仕事じゃなけりゃお前とこんなにぐちゃぐちゃ話したりしない」と明言することも多くありました。自分の性分があったので、部下を持つ事に向いていないと思っていましたし、だからこそ「役割」に徹しなければおかしなことになりそうな気がしていました。

長い間、本当にそう思っていたんです。今となっては、かえって少し青い考えにも思えますが、目的があって集まっている集団の中に、目的から外れた関係が入り込むことが、汚く思える気がしていました。目的を外れた「親しさ」や「嫌悪感」が、仕事における行動を左右することは「不正」だぐらいに思っていたんです。

それぐらい人の「情」というものに疑いを持っていたのでしょうか。「情」は移ろいやすく、また恐ろしい「怪物」のようでもある、そんな風に思っていました。

同じように「モラル」にも信頼を置けない。誰もが持っている「モラル」の正体は、脆く、また移ろいやすいものだと思っていました。

他人の「情」や「モラル」を信じられないように、自分自身の「情」や「モラル」にも信頼は置けませんでした。

 

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営利企業には、「売上・利益を上げる」という明確な目標があります。私は元来お金に執着がない方で(お金に余裕がある訳ではありません)、「利益追求」などの言葉も嫌いでしたが、営利企業の一員となって最初にすっきりした気持ちになれたのは、自分に与えられたミッションは「売上・利益を上げる」ことなんだとはっきり自覚できた時です。

お客さんと接する前線にいると、接客対応が上手でない新人などに「もっと親切な対応ができないのか」とか「それじゃお客さんのためにならないだろう」などと叱責する管理者を見かけたりします。でも、そういう人に限って、実際にはお客さんに親切じゃなかったりします。表面的には、すごく言葉が丁寧でにこにこしていたりしますが、お客さんの反応もいまひとつです。クレームもたくさん発生し、業績も上がりません。

「親切」を目標にしてはダメだと思います。自分が好きで築いているプライベートな人間関係の中でさえ、「親切」を貫ける人がどれだけいるのでしょう。「好き」だと思う人にすら、優しい気持ちもいつも持ち続けられないことだってあるでしょう。

「営業スマイル」なんて使い古された言葉があるように、お客さんだって「親切」が営業上のものかどうかぐらいわかります。賢い人なら、美辞麗句を並べられて持ち上げられるほど、胡散臭く感じるものです。

さっき例に挙げた管理者は、単に言葉足らずなんでしょうか。「親切」はその場限りの売上を獲得するものだと言いたかったのでしょうか。それとも、目先の売上ではなく長期的な売上に資するよう「親切」にしろ、と言いたかったのでしょうか。

 

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退職を報告してきてくれた元部下は、入社当初、線の細い女の子でした。入社当初から私は「売上」を厳しく要求しました。

私が退職する頃には、この部下はとても頼りになる戦力でした。売上をたくさん上げました。お客さんからもとても信頼されていました。

今回の転職は、私がこの部下の将来は「こうなったらいいなあ」と思っていた方面への転職です。一度だけ、口を滑らせて本人にも言った覚えがあります。

私が送り出した部下、私が退職した後に退職した部下、今でもその会社にいる部下、この人達の全てに「売上」のために働けと強く言いました。グロい言葉もたくさん使いました。一緒に残業もたくさんしました。

かつては仲良くしたいと思ってもいなかったし、いちゃいちゃするのは今でもやっぱり苦手です。不義理だとは思いつつも、照れくさいのもあって自分から連絡することも、ほぼありません。でも、彼らから連絡をもらうことに嬉しさを感じるのは、単に「好き」とか「嫌い」とかの情ではないように思います。私は好き嫌いのはっきりした人間ですが、もっと大事なことのように思えてきます。

 

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世間は美辞麗句に溢れています。もうずっと前から「嘘っぱち」ばかりが蔓延し、変化があるとしたら、一番大きな声の嘘つきが選手交代するぐらいです。

その嘘に「お約束」で乗せらて踊りを踊ってみたり、人を横目で見ながら祭りの輪に飛び込んだりしているだけでも、大嘘つきに加担していることになると私は思いますが、世の中に不安が蔓延すると、「お約束」を忘れて本気で「嘘」を本当だと思い込む人まで現れます。特に声がでかく、美辞麗句の使い方が上手(わざと汚い言葉をまじえたりする)なタイプの嘘つきは危険な存在です。

でも、ごく稀に真実の声を聞くこともあります。そういう声はたいてい小さな声です。

 

ずっと前、障がい者雇用で老人福祉施設で働く知的障害を持つ人の話をテレビで見たことがあります。随分昔に見たものなので記憶が曖昧ですが、良く憶えている部分があります。

その人は、成人女性で、障害のために時間の観念が苦手で、時間通りに行動することが著しく苦手ですが、お年寄りたちのお世話をしながら、お年寄り達に可愛がられていました。手当ては月に2万円程度だったと思います。そのお給料をもらった日は、とても誇らしげに家族に報告していました。

この人がある日、遅刻をしてしまい出勤途中で引き返して家に閉じこもってしまいました。何も言わず泣いてばかりいます。施設長から電話があっても出ず、家族が呼びかけても顔を真っ赤にして泣いているだけです。

しばらくして言った言葉は、「待ってるのに…」です。

 

そう「待ってる」のです。

しばらくして彼女は出勤して行きました。

 

自分が何をするためにそこにいるのか、それを知っていることは素敵なことだと思います。

 

◇◇◇

不動産事業に関する予算を細かくつめました。反響や成約率についての仮定は推測というよりも想像のような気すらするのは未経験業界だから仕方ないと割り切りました。

一方で不動産会社のサービスサイトを作成しているうちに、そのコンテンツが何だか胡散臭く思えてきてしまいました。

それでちょっと考えている間に、独り言のような今日の記事になりました。

更新が滞りがちなので読み返さずにアップします。

最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございます。

 

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griffin

グリフィンです。不動産業もWordPressも関わるようになってまだわずか。それを差し引いてお読みください。コメントはお気軽にどうぞ。

4件のコメントが “何かが待ってる。” にあります

  1. ご無沙汰しております。griffinさんお元気にされておりますでしょうか。

    毎日毎日もがいております。自分が社会の役に立てているのかを自問しております。
    その時、こちらのサイトをみせていただだき非常に勇気づけられております。

    大変お忙しいと思いますが、又、更新楽しみにしております。

    1. キャイーンさん、お久しぶりです。
      私は元気にしております。

      頭の中だけぐるぐるしていて、仕事の実態としてはルーティンをこなしているだけの状態なのが正直なところで、キャイーンさんと同じような自問を私もしております。

      ちょっと時間がないのと、仕事は悩みに入っていることもあり、更新が滞ってしまいました。今までで一番長い未更新記録かと…。すみません。

      また必ず再開しますので、長い目で見ていただくとありがたいです。

      コメントありがとうございます!

  2. 初めまして、

    現在就職活動をしている社会人です。

    サイトを拝見させていただき、コメントに足跡を残したく書き込みさせていただきました。

    今までやりたいように生きてきて、
    結果自分の首を絞めていました。苦笑

    守りになった時にとても自分の小ささを実感してます。

    と関係ないことを書いてしましましたが、
    前向きになれました!

    ありがとうございます。

    1. コラリーさん、はじめまして。
      ご訪問ありがとうございます。

      「やりたいように生きてきて、結果自分の首を絞めてしまいました。」という部分、私にも思いあたる節は多々あります。

      まあでも、それが自分。変えようがあるならそれもありでしょうが、変えようがないなら、その自分で生きていくしかありませんね。私自身はそう思っています。ま、カラ元気もありますけど(苦笑)。

      前向きになられたのなら、とてもうれしいです。頑張ってください。私自身にも言い聞かせます(笑)。

      コメントありがとうございました!

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