仲介手数料無料と「抜き」行為 ‐ 不動産業のあり方を問うテーマを含んでいるかも ‐

私のような不動産業界未経験者には荷が重いテーマですが、疑問が募って行く一方なので、自分の頭を整理するためにエントリーです。ものすごく長文です。

(注)この記事は、開業前に業界未経験者が知りえた情報等を基に、自分の考えを整理するために書いたものです。内容の考察が不十分な点や推測に基づく部分、うまく整理できていない部分がありますので、その点ご了承の上でお読みくださいますようお願い致します。

Black and red
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1. 仲介手数料無料の不動産会社

ここ数年、駅前の賃貸客付専門系の不動産屋さんの店頭に「仲介手数料無料」や「仲介手数料半額」のノボリを良く見かけるようになりました。

また、売買に関しても「多くの物件を仲介手数料無料にできます」と案内している不動産会社があります。中には、ポータルサイトや他社サイトで知った物件でも手数料無料にできる場合が多数ある、と誘引してる会社もあります

一般消費者の立場からすれば、普通は払わなければならない仲介手数料が無料であれば、それに越した事はない、と考えるのが通常だと思います。

「仲介手数料無料」だからと言って不動産会社がボランティアで仕事をしていると思う人はいないでしょうから、一般消費者も何がしかの利益を得る方法があるのだろう、と推測はするのでしょう。最も善意の推測としては、経費節減等何がしかの企業努力があってのことだろう、というところでしょうか。

不動産業について真剣に考えるようになってから、この「仲介手数料無料」について考え始めると、背景にある仕組みや業界慣行、業法、業界に対する一般消費者の意識、不動産業界の今後等、検討材料が多く含まれているテーマのように思えてきました。

尚、売買と賃貸、それぞれ異なる部分があるので、今回は売買についてのみ書くことにします。

 

2. 仲介手数料についての決まり ‐ 報酬額の制限 ‐

検討の前提として書いておきます。仲介手数料(業法上は媒介報酬)については業法に基づき国土交通省告示で、その「上限」額が定められています。

【2015.6.2 追記】 記載内容はこの記事を書いた2012年1月12日現在の制度・消費税率等に従って書いてありますのでご了解ください。

【売買媒介の報酬上限】

報酬を計算するための速算法(※)によると

・売買金額200万円以下→売買金額の5.25%
・売買金額200万円超400万円以下→売買金額の4.20%+21,000円
・売買金額400万円超→売買金額の3.15%+63,000円

(例) 例えば売主から依頼を受けて売買代金5,000万円の不動産売買を媒介した場合、宅建業者が受け取れる媒介報酬(仲介手数料)の上限金額は、
50,000,000円×3.15%+63,000円=1,638,000円です。

ここで押さえておくべき点は、

あくまでも上限を決めたものであり、上限金額を当然に請求できる(すべき)だとは決めていない

・一方当事者からの上限金額であるから、当事者双方から媒介依頼を受けた場合は、それぞれから上限金額までの報酬を請求できる
(上の例で、買主からも媒介依頼を受けた場合、つまり同じ業者が買主を見つけてきて売買契約を媒介した場合に、双方から受け取れる報酬の上限金額はそれぞれ1,638,000円であり、報酬の上限金額は合計で3,276,000円になる。)

という点です。

※速算法によらない場合下記の通りです。
・売買金額200万円以下→売買金額の5.25%
・売買金額200万円超400万円以下→売買金額200万円までの部分について売買金額の5.25%、売買金額200万円超の部分について売買金額の4.20%
・売買金額400万円超→売買金額200万円までの部分について売買金額の5.25%、売買金額200万円超の400万円までの部分について売買金額の4.20%、売買金額400万円超の部分について売買金額の3.15%

(注)宅建受験生の方へ。上記の金額は全て宅建業者が課税事業者である場合です。宅建受験用の知識としては、消費税を考慮しない速算法の計算式(400万円超の場合、代金の3%+6万円、課税事業者の場合は、その計算結果に対して消費税率をかける)を覚える方が良いと思います。また、交換の場合、また代理の場合等についての説明は省略しています。

 

【「両手」と「片手」】

ちなみに、一方当事者からのみ手数料を受け取ることができる場合を「片手」、当事者双方から手数料を受け取ることができる場合を「両手」と呼ぶそうです。

もちろん「両手」の方が業者にとっては「おいしい」取引と言えます。あるいは、一定の「両手」取引があることを前提に経営が成り立っているとも言えます。

 

3. 仲介手数料を無料にする方法

宅建業者が所有する物件の取引については「媒介」に当たらないので、当然仲介手数料は生じません。ここで述べるのは売主が別にいる場合です。

(パターン 1)
売主から媒介依頼を受けた宅建業者が、自ら買主を見つけて売買契約を成立させた場合、手数料を「両手」とすることが可能です。この場合に買主からの手数料を無料として、売主からのみ手数料を受け取ることにすれば、謳い文句通り買主に対する「仲介手数料無料」を実現することができます。

(パターン 2)
一方、売主から媒介依頼を受けていない宅建業者の場合(つまり他の宅建業者が売主から媒介依頼を受けている)、その宅建業者は買主からしか収入を得ることができません。

「仲介手数料無料」を謳っている宅建業者も、この場合は手数料を無料にできず、法定上限の半額、あるいは売買金額に応じた累進割引をするなどして、手数料優遇モデルを維持しようとします(中には法定上限手数料の負担を求める場合もあります)。

ここまでであれば、普通の企業努力、つまり正当な競争原理が働いて消費者に有利な選択肢が増えたのだ、と言う事ができると思います。そもそも報酬については上限規定なのだから、仲介手数料に競争原理が働いてこなかった過去の方がおかしい、とも思えます。

また、新規参入する側から見れば、薄利多売を覚悟し、手数料無料・割引戦略によってスタート時の活路を見出そう、という考えも容易に頷ける気がします。

 

4.「仲介手数料無料」に含まれていそうな問題

ただ、考えていると問題がありそうだと思う点があります。例えば次のような場合。

宅建業者Aが「お客様が他社サイトなどで見つけた物件も手数料無料にできます」とサイトなどで謳います。そして客が「他社のサイトで見たこの物件、手数料無料になる?」と聞いてきます。

客が見たサイトの運営業者Bは売主から媒介依頼を受けており、一方で業者Aは何ら媒介依頼を受けていません。そこで業者Aは物件所有者を調査し直接連絡をして、「購入意思の高いお客様がいるので、売主様と弊社との間で媒介契約を結ばせて頂けないでしょうか」と申し出ます。

売主が、「いや、既に媒介依頼している業者さんがいるのでそちらを通して下さい」という場合、上記の(パターン 2)に持ち込むしかありません。

しかし、売主が「早く売りたいと思っていたので、いいですよ」となった場合、業者Aは売主との媒介契約に基づいて報酬を請求し、買主からは報酬を受け取らない「仲介手数料無料」(パターン 1)が成立します。

売主が業者Bと一般媒介を結んでいた場合はもちろんですが、専任又は専属専任媒介契約を結んでいたとしてもBとの契約期間満了待って業者Aと契約するのであれば「法律上は」問題ないのだと思います。

しかし、このパターン、なんとも気持ちが悪い気がします。

もともと媒介依頼を受けていた業者がおり、(たとえそれば一般媒介で数社に依頼がかかっているとしても)お客がその物件を知りえたのは、媒介依頼を受けている業者Bの広告によるものです。買主を募るための広告なのだから買主側の媒介業者として登場するのは予定しているのでしょうが(もっとも、売主側業者が両手を狙ってこれを事実上阻止するパターンもあるようですがここでは省きます)、売主との間に割って入る、というかそれを横取りするように見えます。

これが、「他社Bのサイトで見た」というレベルならまだ仕方ないレベル、と言えるのでしょうか。この辺の感覚は未だ私にはつかみきれていないです。

一方で他社Bから資料を取り寄せた、他社Bの店頭で相談に乗ってもらった、他社Bに現地案内してもらった、等の各段階に至ってからの行動であればかなりまずいことになりそうな気がします。どの段階で明確にまずくなりそうかもつかみきれていませんが、どこかのタイミングで業界で言うところの「抜き」行為として、買主もトラブルに巻き込まれる可能性があるかも知れません。

買主が物件を購入するに至る過程に対する業者B関与の度合いによっては、法律上、買主にはBに対する媒介報酬支払義務が認められる場合もあるようですし、業者BからAへの損害賠償請求が認められる場合もあるようです。しかし、私の考える問題のポイントはそこではありません。

 

5. 最も大事な問題は業者間の倫理や慣行ではない

不動産業者からすれば、「抜かれる」ことはとても腹立たしいことだと思います。倫理・仁義にもとる行為をするものとして「抜き」業者は業界内で白眼視され、孤立するのかもしれません。しかし、私が今問題にしようとしていることはそこではありません。

一般消費者の目から見ると、買う商品が同じであれば少しでも安く買える窓口から買いたい、と思うのは人情です。多くの商品が、その情報を詳細に得たサイトではなく、価格.com 等の価格比較サイトで見つけた最安値店や家電量販店で購入されることが常態化している今、不動産についても似たような手法で「賢く」買い物をしたいと考える消費者はたくさんいると思います。そして不動産物件情報はネットに溢れており、業者主導の「抜き」のみならず、買主主導の「抜き」すら容易に誘発される状況に思えます。

問題は、何が「抜き」で何が「抜き」でないのか。そして何故「抜き」は許されないのか、という点です。私がこの「抜き」に関して考えている今も、何が「抜き」で何が「抜き」でないビジネスとしての正当な競争なのかの境界が良くわかりません。それがどれくらい行われているのかも。おそらく、一般消費者の感覚もそうなのではないでしょうか。

そう考えるとこの問題には、不動産業の今後についてのヒントが隠されている気がします。

今までの不動産業は「情報の偏在」を糧にしてきたという面が強いと思います。その情報の主なものは、どのような物件があるのか、というものです。しかし、不動産ポータルサイトを始め、各社不動産会社のサイトには多数の物件が掲載されており、今や消費者はネット上で相場観を養った上で不動産会社に問い合わせをかけます。その過程で不動産取引の仕組み等の知識も増えていく。今の消費者は賢くて手ごわい。それは健全な流れだと思います。偏在していた情報が拡散し容易に入手できるようになる、そのことによって起きる変化からは逃れようがありません

そのような消費者が自分の支払う費用を少しでも節約する方法を模索するのは当然のことで、業界内の「仁義」「モラル」あるいは「常識」であっても、それらを消費者の行動規範として押し付けることには困難を感じます。現時点では媒介業務の進行度合いによって費者の報酬支払義務を認める判例もあり、不動産業者の正当な努力を法はある程度保護しているようですが、それも固定的なものではないかもしれません。社会の変化に応じて法意識は変化しますし、それに応じて法規範も変化します。判例の実社会への反応が概ね鈍感だとしても、いずれは突き上げられて変わって行くものだと思います。

もう随分前(20年近く前でしょうか)、ネットの普及に呼応して「ミドルマン(仲介人)」は消えると言われました。消えたのは古いミドルマンで、新しいミドルマンに入れ替わりました。販売者の側を向いたミドルマンから一般消費者である購入者の側を向いたミドルマンです。偏在した情報のネットによる拡散に呼応して、各種のポータルも登場し、それらはある意味新しいミドルマンの頂点に立っています。この状況は誰も違和感を感じることが無いほど当然のことになっています。不動産業はどうでしょう。

先日、宅建登録実務講習で物件調査について学んでいるとき、私はある種の「怖さ」と「緊張」を感じました。そのことにこの問いに対するヒントがあるように思います。

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一般消費者にとって不動産取引は失敗すれば回復不能な損害を抱えかねないリスキーなものです。売買は通常数千万、賃貸であっても、家賃8万円であれば入居費用等含めれば年間100万円を超える金額を消費する買い物です。失敗は許されません。そうであれば、どのような物件があるのか、という情報を消費者が簡単に入手できる時代だと言っても、「どのような」の深さが問題になります。

本当に一般消費者がネットで簡単に蓄積できるような知識が不動産屋の代わりとして機能するというなら不動産屋は本当の意味で不要なのかも知れません。誰が探したって同じ物件が見つかるというなら、「抜いて抜いて抜きまくれば」いい(笑)。そもそもホームズやアットホームのような不動産ポータル自体が業界の常識をぶっ壊してきたわけだし、ポータルに売主が自ら登録して、買主とやりとりすればいい。儲かるのはポータルと一部の大手だけ。

そもそも、今でもネットでは知りえない物件の情報はたくさんあります。もちろん現地に行かなければわからないことだらけですが、消費者にとって現地に行く前に知りたい情報はたくさんあるはずです。しかしネット上では「生殺し」です。ポータルも各社のHPもみんなで寄ってたかって「生殺し来店作戦」を限界まで引っ張ろうとしているようにも思えてきます。業界の常識を「ぶっ壊した」と言っても、徹底した消費者の利益追求が図られているとは思えなくなってきます。皆でぶっ壊したのは、本当は対応しきれない零細不動産屋だったのかもしれません。

仮にネットに出来うる限りの情報を出したとしたら、買主は不動産屋に来店しないのでしょうか。あるいは不動産屋を通さなくなるのでしょうか。「生殺し」作戦は、消費者の「知りたい」という圧力にいつまで耐えられるでしょうか。情報を出しすぎると「抜き」のリスクも飛躍的に増大するかもしれません。でも、業界の中で「抜いた」「抜かれた」と言っている間に「業界自体」が抜かれてしまう可能性もあります。そうなるならそうなったでいいという考えもあるでしょう。

でも、私は決してそうではないと感じます。

多くの場合他のものでは代替できないある意味「完全なる特定物」である不動産と、絶対に代替できないお客の「暮らし」「人生」。これらを円満にマッチングさせるためのプロとしての力とは何か。また、そういう力があるのだと一般消費者が不動産屋に対して価値を認めるための要件は何なのか。もっと簡単に言えば「ただ間に立ってるだけで数百万もかっさらっていくボロい手数料」と思っている消費者の感覚を変える媒介業務とは何なのか。

「抜き」はルール違反だと主張するためには、媒介行為には、経費はもちろんのこと、素人が容易に代替できないスキルと労働が投入されているのだという、ある意味当然のことを消費者に理解してもらうことが必要です。

これをクリアできれば、一般消費者が「抜き」に関わることはあまりにもリスキーだということに自ずと気付く気がします。

不動産会社を物件で選ぶのではなく、「プロとして任せられる」いや「任せたい」と思うかどうかで選択する。そして、クリアな媒介契約を締結した上で、物件購入に関わる全てのプロセスにおいてその会社を頼りにする。簡単に物件を探せる時代になったからこそ、プロが真にプロとしての価値で選ばれる、そういう時代に変化していけばいいな、と思います。

ただ、そこに至るまでには、まだまだ多くのトラブルや犠牲が生じるのかもしれません…。物件そのものを押さえて窓口を自社に一本化する、そのパワーの大小だけで多くの勝負が決まっていく現実もあるのかもしれません…。大手が「両手」のために物件を囲い込み、売主の物件は費用のかからない大手の「在庫」と化し、零細業者は淘汰される。客付けから始めるしかない私自身が生き抜いていく方法を必死に考えなければいけないと思いますし、業界に飛び込んでいくのが怖くもなります。それでも「媒介」の価値についてこだわりたい、と思う業者の卵です。

そして、現時点での私の理解としては、「他人の努力にフリーライドすること」それが「抜き」であり、正当な儲けではない、ということで一旦落ち着きました。他人の時間、経費、労力の結果にただ乗りすることは、どう時代が変化しても許されるべきではないでしょう。結局「汗を流した対価を頂く」という当たり前の結論になってしまいましたが、それは起業したときからの自分の考えでもあります。

(注)「仲介手数料無料」を謳う不動産業者が、必ず「抜き」をしていると言っているのではありませんので誤解のないようにお願い致します。正当な企業努力と競争原理の下でビジネス展開されている業者さんの方が圧倒的に多いのだと思います。私自身も手数料の優遇はビジネスとしては検討中です。

 

6. 手数料の「両手」は問題か?

かつて「両手」禁止が政策として持ち上がった時期がありましたが、その当時私はあまり関心を持っていませんでした。きっと業界内では様々な意見が飛び交ったことでしょう。「両手」がなくなることは、小さな不動産業者にとっては死活問題かもしれません。しかし、一方ででは先に述べたように、「両手」の存在が業界内の寡占化を進め、小さな不動産屋を苦しめる側面もあるかも知れません。

これらとは少し違う角度から考えると、売主と買主は本質的に利益相反の関係にあるのではないか、という疑問もあります。例えば売主は少しでも高く売りたいのが通常ですし、買主は少しでも安く買いたい。もちろんその程度は売り手・買い手のあり方によって異なるでしょうが、本質的にはそうだと思います。

だとすれば、その間に立ってうまくバランスを取ることは本当に至難の業だと思います。業者の「心がけ」がどうであれ、どちらかに比重がかかることは避けられないのではないかと思います。一方との利害関係の一致が大きく、かつ関係が継続的であれば、なおさらです。

確かに、代理と異なり媒介は両当事者を取り次いで契約成立に向けて尽力する立場ですし、最終的な意思表示をして契約締結するのは当事者本人なのだから、「法律上は」利益相反には当たりません。

しかし、宅建業者の存在価値が大きければ大きいほど(つまりまともな業者であればあるほど)、契約の成否や契約条件に与える宅建業者の役割は大きなものになるでしょうから、事実上「利益相反」的な局面は数多くあるはずです。

そしてまた、報酬の大小、継続的関係性という点で、売主と業者、買主と業者の関係に不均衡がある場合を想定すると、事実上の利益相反の危険性は最初から「制度として」排除すべきではないか、とも思えてきます。売主側の媒介業者は売主の、買主側の媒介業者は買主の利益を最大化するように行動する、というのはわかりやすいあり方だと思います。

ただこれも形式的に過ぎる考え方に思えます。実態としては、業者間には日常的な取引の中での力関係が厳然と存在するでしょうし、その力関係を隠したまま交渉を進められるとすれば、「両手」取引以上に契約の一方当事者にとって不利な事態が生じることも想像されます。

不動産も法律上は「物」に過ぎませんが、多くの場合、そこには継続する「暮らし」があります。売主・買主が近隣に住む事になる場合もあるでしょう。単に論争、せめぎ合い的な取引だけで不動産取引が円滑に行われるとも思えません。金銭的な問題は最大の関心事であることは間違いないとしても、不動産取引にはそれ以外の要素もあります。媒介業者が一社であることがメリットとして機能する面も否定できない気はします。

どちらにせよ、「仲介手数料無料」の(パターン 1)、売主からだけ手数料を受け取る場合は、危険をはらんでいるのではないでしょうか。確かに買主には「手数料無料」のメリットを与えてくれる「いい業者」に見えるかもしれません。しかし、業者が手にする収入は売主からの手数料のみ。売主の顔色の方を多く窺うということはないでしょうか。それとも、両者が合意しないと売主からの手数料ももらえないのですから、均等に条件交渉することになるのでしょうか。もちろん、業者さんによって違うのでしょうし、この辺は感覚的にはまだわからないところではあります。

例えば、契約当事者、媒介業者3者の間でやりとりされる金銭については、当事者全員が把握している、ということであれば警戒をのしようもありそうです。その辺についてはもう少し考えて見ます。

 

□□□□

ものすごく長くなってしまいましたが、要約する余力もないのでそのままアップします。

未経験者の知識ですから目新しい内容はないと思います。思考部分は素人の机上の空論に過ぎません。単純に間違った知識・理解もあるかもしれません。また、未経験で業界に飛び込む「なめた」奴が、「真のプロ」なんて言葉を吐くことに厳しいご意見もあるでしょう。まだ読者の少ないブログですが、もしご指摘やご批判があれば、お気軽にコメントいただければ嬉しいです。

きっと今後私の考えは変化していくでしょう。そのうち、同じテーマで記事をアップしたいと思います。

ただ、玄人になる前に自分の素人感覚をここに残しておきたいと思いました。

貸借についてもそのうち書きます。

※「抜き」とか「生殺し」とかのキーワードを多く使ったことが心配です…。

 

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griffin

グリフィンです。不動産業もWordPressも関わるようになってまだわずか。それを差し引いてお読みください。コメントはお気軽にどうぞ。

19 thoughts to “仲介手数料無料と「抜き」行為 ‐ 不動産業のあり方を問うテーマを含んでいるかも ‐”

  1. グリフィンさん
    はじめまして。夜分遅くに失礼いたします。
    異業種の者です。

    数ヶ月前にひょんなことから不動産に接する機会がありこの業界にとても興味が湧き、29年度の宅建試験を受けることに決めました。

    数週間前にグリフィンさんのブログに出会い、最初から読み進めて2013年2月1日の記事まで来ました。

    未経験参入からの開業。顧客に対しても大変真摯に対応されており、よりリアルな体験を細かく記事にされており非常に勉強になります。

    現在、諸事情で開業できない私の場合は、不動産屋で経験と実績を積ませて頂いてから開業したいと思っています。
    これからもこのブログを通じて勉強させていただければ幸いです。
    私もグリフィンさんのようなお客様に信用をいただける取引士を目指して頑張ります!
    よろしくお願いします!

    1. ドルフィンさん、はじめまして。
      ブログを読み進めて頂いているとのこと、ありがとうございます。稚拙な内容も多々あるので差し引いてご覧くださいね。
      私はおっしゃって頂いているような大した宅建士ではありませんが…。ありがとうございます。実際、色々と反省ばかりで、最近は反省が積もり過ぎてヘコみがちです。
      未経験開業よりも、業界での職務経験を積んでからの開業の方が圧倒的に良い、というのは今だから言える私の実感です。頑張ってください!
      最近は諸事情によりブログ更新が滞っていますが、続けるつもりではいますので、今後とも宜しくお願いします。

  2. こんにちわ。業者って響きがいやなので「会社」を使ってます。私の尊敬する青山繁晴さんが、「日本のいいところはどの分野・業界にも良心的な人がいることだ」とよく言いますが、管理者の方にそれを感じましてコメントします。売買仲介はじめて数カ月のものです。無在庫の仲介ビジネスでボロ儲かるのはオカシイと思う反面、法的仲介リスクが付いて回る以上相応のリターンは必要だとわかってきました。専任大手は両手が狙いなんで客付け会社からの問い合わせには「無い」、そのあと個人お客さんからの問い合わせには「有る」と電話で同じ担当が答えるケースが大手は山ほど。裏取られてるソースがいつ公開されるか?2番手以降を受けようともしない専任大手、囲い込みがニュースになった今のトレンドは、ウソ付く回数が減り叩かれにくくなるので一般媒介にしといてレインズ載せないで自社HPだけで売り続ける。または、割安な物で自信がある時は専任もらって水木金で自社HPだけに出して土日で案内して買付取ってレインズ載った月曜にはオキマリ「商談中」など。途中ウソ対応が入ってなきゃ合法なんですが、言い逃れできないほど証拠集められてますからねェ。HPは誰でも見れますし、エンド様グリップしてると大手HP新着廻りますから、木金電話すると「売主の意向で」とか言われたり。市場に供給した価値、物上げに労力を割いてるのは事実だから、こちらから「成約の際は仲介させて頂けた手数料をお支払いします、金額やパーセンテージはご相談させて下さい」って物事の成立事由として当然のことを言うのですが、今のところ両手文化で大きくなった大手五社君の誰もが理解できず、??で「忙しいので。。」とか言って電話切られます。6%の「総取り」は神(自然の摂理に近い?)が見過ごしできない強欲過ぎる値なんだと思う。だからいろいろトラブルが枝葉で起きる。実際は、客付けがグリップしてるエンドさんにも「公平に購入の場はあるべき」で、大手五社君は客付けがエンドをグリップできていることも評価に入れ、0.5%~1.5%を客付けから成約時もらうようにするのが落とし所としてはいいと思う。これなら裏で所有者にマワシテない場合は、五社君は3.5%~4.5%だからメンツももつでしょ。この当たり前の話を受けれる良心派の五社君はどこにいるかなーー?

    1. 囲い込みの一番大きな問題は、売主利益に反する場合があることだと思いますが、それでも大手が買い手を見つける力が強ければ、問題が表面化することは少ないのでしょうね。両手仲介自体が「常に」消費者利益に反すると言い切れないところが難しいところだと思います。

      囲い込みの実態に関するセンセーショナル(といっても業界内では常識)な記事が出てきても、それによって特に何かが大きく動くことはないでしょうし、商売である以上、モラリスティックな議論では変化は期待できないのでしょうね。

      私はこれから売買仲介を始めようとしていますが、やはり客付けから始めなければならず、このような環境の中で独自性をどう打ち出していくか悩ましいところです。

      コメントありがとうございました。

  3. 首都圏に子どもたちの物件を探していて、ここに行きつきました。地方の出身で、首都圏では右も左も解らぬ田舎者です。ネットに溢れる不動産情報を元に、今もあれこれと探しておりますが、私たちのような都会に不慣れな者にとっては、生き馬の目を抜く街と言えど、どこかに信頼できて、善良で、私たちの不安を軽減してくれ、すべてをお任せできる不動産屋、あるいは人はいないものかと常々考えている次第で、こちらにエントリーされたお考えや寄せられたコメントを拝見し、「あ、こんなまじめな方々もいるんだ」と改めて胸をなで下ろしております。競争の大変厳しい業界だと認識しておりますが、おっしゃる通りこれからの不動産業は信頼と人で選ばれるように、ぜひ差別化を図っていただきたいと思います。皆さんお若い方々とお察ししますが、皆さんの思いが原動力となってこの業界に又新しい風が吹きますことを願っています。

    1. junさん、はじめまして。コメントありがとうございます。

      私自身が地方出身者ですので、都会に出てきての部屋探しの不安は良くわかります。自分の、また友人の部屋探しの際に、ちょっとおかしな不動産屋さんに入ってしまったこともありました。それでも当時は若かったので期待感の方が多かったのですが。

      その頃に比べれば、おかしな不動産屋さんは格段に減っているのではないかと思いますが、それでもご不安でしょうね。時間的な制約もあるでしょうが、物件よりも不動産会社(あるいは営業マン)をお選びになれたら良いですね。私自身もお客様に信頼していただき、満足して頂ける形に全てがおさまったとき、とても嬉しくなります。それに、一般的には「必ずウチで決めてくれる」と思えば営業マンも力が入るものです(笑)。

      ただ、いずれにしても、この業界にも真面目な方は多くいらっしゃると思いますので、とにかく何でも率直にご相談なさってみるのが一番かと思います。

      私自身は若くないのですが(笑)、励ましのお言葉、大変嬉しくありがたく感じました。ありがとうございます。

      良いお部屋が見つかりますようお祈り申し上げます。

    1. この記事を書いた2012年1月12日現在の税率で書いてありますが、勘違いする人がいるかも知れないので【追記】を入れておきますね。ありがとうございます。

  4. グリフィンです。

    メールフォームから、「仲介手数料を無料にしている会社だけが抜き行為をしているような誤解をされるように書いている」「お客さんのために努力していて、他業種なら当たり前のこと」「抜きをするかどうかは仲介手数料云々ではない」という趣旨のご連絡を頂きました。

    私自身、仲介手数料無料=「抜き」という理解では決してなく、記事を書いた当時もそのような趣旨で書いたつもりはありませんでした。

    ご指摘頂いた方にメールで返信しましたが、メール不達になってしまいますので、書いたお返事を下記に記しておこうと思います。

    ————————–

    ○○○○○様

    はじめまして。
    「未経験から始める不動産業」のグリフィンです。
    ご連絡ありがとうございます。

    ご指摘の件なのですが、ご指摘を頂いて改めて記事を読み返してみました。

    私としては、仲介手数料を無料としている会社が抜き行為をしている、という風に書いたつもりはないのです。

    また、仲介手数料無料にするというのは、多くの場合、正当な企業努力であろうということも認識しているつもりです。

    それで、5.の最後に、(注)として

    ”「仲介手数料無料」を謳う不動産業者が、必ず「抜き」をしていると言っているのではありませんので誤解のないようにお願い致します。正当な企業努力と競争原理の下でビジネス展開されている業者さんの方が圧倒的に多いのだと思います。私自身も手数料の優遇はビジネスとしては検討中です。”

    という記述もしております。

    ただ、長文のため、誤解をされる方もいらっしゃるかも知れませんので、この(注)は、今回赤字で目立つように変更しておきました。

    辺境のブログで、業界未経験者が、個人としてその当時の思考を記録しているものですので、全体としてはこのままの記事で残させて頂きたいと思います。

    ご理解頂けるかどうかわかりませんが、これでご容赦頂きたいと思います。

    どうぞ宜しくお願い致します。

    ————————–

    ご理解頂けると幸いです。

  5. グリフィンさん

    どうもはじめまして 渋谷駅前不動産 ホームページ運営者のtaiki と申します。

    「仲介手数料無料」のキーワードで検索していてグリフィンさんのブログにたどり着き

    ちょっと足跡のこしてみようと思いました。

    「仲介手数料無料」このシンプルなコンセプトは
    ホントに奥が深いです。

    自分で実際 このビジネスモデルでやってみたい!とホームページを作成し、わかりやすく「仲介手数料無料」物件だけ集めてサイトを運営しております。

    自分自身 競争に強い。他の業者さんは?
    いいサービスをして 価格が最大無料なら
    感動がうまれるのでは?

    きっと聞かれたときに

    良いように説明できたり
    自分でも これでいいのかな?

    とかなりいろんな角度や立場で
    様々な理由や動機 答えがでてくるからです。

    なにはともかく不動産売買の「仲介手数料無料」
    についてはまだまだエンドユーザーに認知されていないように思いますし こういった記事がありがたいことだと思います。

    物件サイトでなかなか時間がとれないのですが
    自分でも「仲介手数料無料」についてブログ等で
    書いていきたいと思いました。

    まとまりませんが
    どうぞよろしくお願いします!

    1. コメントありがとうございます。

      この記事は開業を決めて間もない頃に、業界未経験者の勝手な推測も含めて書いたものですので、今は少し考えに変化もあるのですが、改めて記事を書けるほどには至っていません。

      おっしゃる通り、仲介手数料無料や割引は大変わかりやすい差別化要素ですよね。価格競争自体はどの業界でも行われている事ですし、未だ賃貸仲介しかしていない私も常に意識はしています。

      手数料無料や割引を謳っている会社さんは増えていく一方だとも感じますし、それは避けられない流れなのかも知れませんね。

      私などは、今でも売買仲介については仕事の質を語るような資格もまだなく、自信もありませんが、手数料の問題、仕事の質の問題などを合わせ考えながら進んで行きたいと思います。

  6. 不動産経験6年です。

    共感しました。

    私のいる会社では、仲介手数料の値引きを行っていません。そのような地域柄という事もあります。
    しかし、市場原理を考えれば、確かに異常なことかもしれません。
    仲介人の能力に対する対価ではなく、たまたまそこで物件があったからという理由での媒介報酬ということがあれば、それは、おかしな話です。
    能力に応じた媒介報酬というのが本来あるべき姿・・・加えるならば、顧客が優れた仲介人を探しに、不動産屋を巡る・・・これが本来あるべき不動産業界の姿だと感じています。

    物件を探しに不動産屋を巡る時代から優れた仲介人を探すために不動産屋を巡る時代への変換はあるものだと私は思っています。

    業界未経験で、この業界の問題の核心を突くあたり、参りました。

    1. たろうさん、コメントありがとうございます。

      優れた仲介人を探す時代へと進んでいくとすれば、自分は選ばれる仲介人に是非なりたい、と思いますし、そういう時代に変わっていけばいいな、とも思います。私の場合は何より自分自身が実力をつけていくのが先決ですが…。

      今思えば、何ら仲介業務をしたこともない時期にこんな記事を書いたことに無謀さを感じます。賃貸仲介だけの経験でも、自分自身の力不足を感じることは多々あり、これからしようとしている売買仲介にあたってはもっとかも知れません。

      売買仲介をある程度こなしてから再度考えてみたいという気持ちもありますが、売買仲介に参入するときには、ある程度自分の考えを強く押し出して進まないといけない、と思ってもいます。

      そんな中、業界経験のあるたろうさんに共感して頂いて心強く思いました。

      ありがとうございます。
      またいらしてください。

  7. 古い記事にコメントしてごめんなさいね。

    当社も開業して3年、未経験からの開業です。
    ようやく軌道に乗り始めたところです。

    仲介料無料も当社では行っていますが、「他社広告でもOK」は直接お電話やご案内頂いたときに話をしています。
    ただ、お問い合わせ頂いた中で意外と多いのは、
    「他社で相談した時は、こんなに親切に分かり易く教えてくれなかった」
    とのお話です。

    「仲介料を割引するから仕事はテキトーなんだろう」と多くの方が心配されます。
    そんな思い込みを払しょくするところから始めています。
    というか、他社の多くがお客様目線で立っていないと思います。

    弊社地域(某州)では、当社が初の仲介料無料を公にしている会社です。
    他業者からの圧力や嫌がらせはすごいですよ~
    新参者や傾奇者には、こんなのと戦いながら生き残るしかないのかもですけど(汗

    1. 未経験開業から3年、軌道に乗り始めたとのことでとても心強いです!
      でも、きっと色々なご苦労を経ていらっしゃるのでしょうね。「他業者からの圧力や嫌がらせ」、まだまだ想像もつきませんが、すごく大変そうです…。

      お客さんから、他社よりも「親切」「分かり易い」と評価されるというのは、本当に素晴らしいですね。私は先日賃貸の重説を初めてしたばかりのひよっ子ですが、重説ひとつとっても、お客さんにわかりやすく丁寧に説明するためには、自分の知識と下調べの内容に自信がないとダメだな、と感じました。私もお客さんからそのような評価を頂けるように努力したいと思います。

      他社広告物件の取扱いについては、まだまだ不勉強な中で記事を書いたのですが、お客さんとの信頼関係が基盤にあって取り扱い物件が拡がっていくのなら、それは正当なあり方だと思います。ネット上には、「他社物件をもってきてね」と言った誘引も多く見られて気になってこの記事を書いたのですが、仲介ってなんだろう、と考える良いきっかけになりました。でも、まだまだ良くわかっていないことばかりです。

      それにしても、エランさん、未経験開業で地域初の仲介手数料無料公開会社、すごいですね。未経験開業の大先輩、ぜひガンガン戦って勝ち残って下さい。

      ところで、エランさん、あのエランさん…ですよね。未経験開業の大先輩にコメント頂いて嬉しいです!ハラハラ、ドキドキしたり、すごいなあと感心しながら、陰ながら応援しております!

      ありがとうございます。

  8. 未経験で来春開業予定の者です。「私は仲介手数料無料」の呼び込みは自社物件のことを指しているのかと思っていましたが、なるほどです。私の場合は上限一杯の報酬ではなく手数料を低く設定して営業しようと考えています。つまり「抜き無料」ではいつトラブルに巻き込まれるか分からないですから。少し考えてから、またお邪魔させていただきます。

    1. まちゃきさん、コメントありがとうございます。
      確かに一般のお客さんにとって、金銭的メリットはとても重要なメリットだとは思いますので、私自身も手数料割引について検討してはいます。
      ただ下手をすると、反響増の効果もなく低単価にだけなってしまう、という可能性も大いにありうる気がしますので、(特に賃貸に関しては)慎重に考えています。
      開業当社は周辺競合と同等で始めて、反応を肌で感じてから決めていこうというのが今の考えです。
      来春の開業、是非是非がんばってください。
      またいらしてくださいね。

  9. 色々な職業を経験してきた中で不動産仲介を5年、現在は銀行で不動産の担保評価をやって3年になる37歳です。 現在、開業を考えています。 仲介の在り方について、およそ私も同意見です。 胸が熱くなる思いです。 これからもチョコチョコお邪魔させていただきます。 今後ともよろしくです。

    1. 誠さん、ありがとうございます!
      すごく嬉しいです。私の方こそ、コメントを拝見して「胸が熱く」なりました。

      不動産取引の現場を知らない私の考えは、まだまだ至らないと思いますし、ましてやビジネスとして成立させるまでは厳しいプロセスがあると覚悟しています。でも、不動産に携わってこられた方の言葉に、少し自信が沸きました。

      ぜひぜひ、今後ともよろしくお願いします。

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